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決断経験が人を育てる:サイバーエージェント流・人材育成の仕組みと成果

目次

はじめに:人材育成が企業成長のカギ

企業にとって「いかに人材を育成するか」は経営を左右する重要課題です​。実際、ある調査では7割以上の企業が何らかの人材育成制度を導入しています​。しかし「65%の組織が人材育成施策の効果を感じられていない」ことも明らかになっています​。

本記事では、人材育成に力を入れ高成長を続けるサイバーエージェントの取り組みに注目します。同社は「決断経験が人を育てる」という信念のもと、社員が自律的に成長する独自の企業文化を築いています​。

その結果、社員の88.6%が「働きがいがある」と感じていることが社内調査で示されました​。サイバーエージェントの育成メソッドを紐解きながら、他の日本企業との比較や、人材育成の効果を高めるポイントを探ります。最後に、こうした仕組みを自社に取り入れるヒントについても考えてみましょう。

 

サイバーエージェントの人材育成戦略:自走する人材を育む文化

サイバーエージェントは人材を「最大の経営資源」と位置づけ、「決断経験が人を育てる」との方針を掲げています​。社員一人ひとりが主体的に意思決定し、自ら考えて動ける“自走する”人材を育成するため、以下のような独自の仕組みを整えています。

  1. 目標設定と当事者意識の醸成
    半期ごと(半年ごと)にチーム全員で組織目標を策定する「プロジェクトレポート(プロレポ)」を実施し、組織目標と個人目標のベクトルを合わせます​。メンバー全員が経営視点で目標設定に関わり合意するプロセスを経るため、各自が目標を“自分ごと”として捉え、当事者意識を持って取り組むことができます​。半期末には上長との面談で達成度を評価し、評価結果に応じて給与・年俸を見直す仕組みです​。また月1回の1on1面談を推奨し、上司との対話を通じて各自が自らの役割や課題を認識・振り返ります​。この定期的なフィードバックにより挑戦と決断のサイクルを回し、より大きな成長へとつなげています​
  2. 若手に権限を与える挑戦機会
    社員が意思決定を担う挑戦の場を多く設けているのも特徴です。同社では新規事業創出が人材育成につながると考え​、2006年から役員と若手社員がチームを組み合宿形式で事業提案を競う「あした会議」を年1~2回開催しています​
    現場から斬新なアイデアを吸い上げ、代表の藤田氏(社長)がその場で審査・決定するこの会議は、社員に経営視点を養わせる場にもなっています​。また全社員(内定者含む)から新規事業案を公募する制度(CycomやPocch等)も2004年以降継続し、社長自ら審査・フィードバック動画を配信して社員全体の学習機会としています​。こうした場で生まれた新規事業には若手社員を責任者に抜擢し、大きな裁量を与えることで成長を促しています​。例えば次世代幹部育成プロジェクト「BREAK8」では選抜された若手に役員が特別講義を行い、将来の経営人材を育成しています​。このように年次に関わらず大きな役割を任せる風土が、社員の挑戦意欲とリーダーシップを引き出しています。
  3. 適材適所とキャリア自律支援
    変化の激しい業界で社員の力を最大化するため、人材配置の柔軟性にもこだわります。毎月1回、全社員を対象に現在のコンディションややりがいを問う3問のアンケート「GEPPO」を実施し、配置ミスマッチの兆候を把握​。現部署で1年以上勤めた社員は社内公募制度「キャリチャレ」で希望部署への異動にチャレンジ可能で、さらに社内版転職サイト「キャリバー」を使い全社の求人に自由に応募・異動できる仕組みも整えています​。元の上司には異動拒否権がなく、社員自らの意思によるキャリア選択を尊重しています​。これらにより適材適所を実現し、一人ひとりが最も力を発揮できるポジションで成長できる環境を作り出しています​
  4. 表彰文化とモチベーション向上
    社内で成果を上げた個人やチームを称える表彰制度も充実しています。半期に一度の全社総会「CyberAgent AWARDS」では、グループ全社員の中から最も活躍した個人・チーム・プロジェクトを表彰します​。コロナ禍以降はオンライン中継も交え、受賞者にはオリジナルトロフィーや賞金も授与される一大イベントです​。さらに各部署ごとにも毎月の月間MVP表彰を設け、身近な仲間同士で成果を称え合う仕組みがあります​。これら表彰を通じ、社員同士が切磋琢磨する風土と「自分も表彰台に立ちたい」という前向きな競争心が醸成され、モチベーション向上につながっています​。特に技術職向けには、エンジニアがエンジニアを讃える「CA BASE AWARD」といった職種特化の表彰制度も現場主導で運営されており​、専門職のエンゲージメント強化にも寄与しています。
  5. 継続的な研修と学習機会
    自走を促す風土を重視しつつも、必要な知識・スキル習得のための研修も充実させています​。新卒社員には2~3日の全体研修後、職種別に約1週間~1ヶ月の専門研修を行い、その後各事業部でのOJTにより実務スキルを磨きます​。育成担当の先輩社員にはトレーナー研修(トレパス)を用意し、新任マネージャー向けにはマネジメント研修、エンジニア向けには技術力向上のゼミ制度を設けるなど​、役割に応じた学習プログラムで成長を後押ししています。さらに前述の「BREAK8」や、経営層と若手の合同研修であるYoung CyberAgent(若手版あした会議)など、将来のリーダー育成にも注力しています​。石田裕子専務執行役員は「一方的な知識インプットよりも、実践の場で成長させる育成計画を各部署・職種で組み、実務に密着したやり方を重視している」と述べており​、学んだことを活かせる場と組み合わせることが大切だと強調しています​
  6. 成果と効果
    こうした包括的な育成施策により、サイバーエージェントは高い社員エンゲージメントと事業成果を生み出しています。同社の社員意識調査では約9割が仕事にやりがいを感じ​、前向きな企業文化が定着しています。また「あした会議」をきっかけに2006年以降32社の子会社を設立し、累計約3,259億円の売上高と約455億円の営業利益を創出するなど、新規事業による継続的成長にも成功しています​。若手社員の抜擢も実績が豊富で、入社10年前後で100%子会社の社長に就任するケースも珍しくありません​。例えば石田氏自身も新卒入社9年目で子会社社長に抜擢され、その後執行役員へと昇進しています​。このように社員の成長がダイレクトに事業拡大と組織力強化につながる好循環が生まれているのが、サイバーエージェントの大きな強みと言えるでしょう。

 

他社の育成手法との比較:リクルート・楽天・ソフトバンクの場合

サイバーエージェントの特徴を際立たせるため、他の日本企業の人材育成策とも比較してみます。人材育成に定評のあるリクルート、楽天、ソフトバンク各社は、それぞれ独自の文化や制度で社員の成長を支援しています。

企業 (業界)育成の理念・文化キャリア自律支援の仕組み主な育成施策の特徴
サイバーエージェント
(IT・メディア)
「決断経験が人を育てる」との信念​のもと、若手に大きな裁量を与え挑戦を促す自由闊達な文化。社員の88.6%が働きがいありと回答​する高エンゲージメント組織。半期ごとにチームで組織目標を定め、個人目標を自分ごと化する(プロジェクトレポート)​。達成度を評価し昇給・賞与に反映。社内公募制度で希望部署へ自由に異動可能(キャリチャレ・キャリバー)​。上司に拒否権はなく自律的なキャリア選択を支援​新規事業提案制度「あした会議」で役員と社員が合宿し事業立案。2006年以降32社の新規事業を創出​。提案者の若手を事業責任者に抜擢し成長機会を提供​。半期ごとの全社表彰で成果を称賛しモチベーション向上​。新卒~管理職まで多数の研修プログラムを用意し、実践重視の育成計画で技能習得を支援​
リクルート
(人材サービス)
「Follow Your Heart」のビジョンを掲げ、個々人の好奇心と情熱を尊重​。社員が自ら機会を創り挑戦することを会社が後押しする文化。組織と個の成長を両輪で回し社会に価値還元することを目指す​半年毎に人材開発委員会を開催し、直属上司以外の管理職も交えて一人ひとりの育成方針を議論​。「Will-Can-Mustシート」で本人の意思・強み・期待役割を整理し、最適な配置や伸ばすスキルを決定​。さらにキャリア自律支援として、全社の社内求人に自由応募できる「キャリアウェブ制度」を導入​。応募者と受け入れ側双方の合意で異動が成立し、元上司は拒否不可。社員の新たな挑戦を制度面で後押し​等級に応じた報酬・昇進制度(ミッショングレード制)で実力主義を徹底。定期的な1on1面談や360度フィードバック(アップワードサーベイ等)により成長促進​。専門コーチ「Co-AL Partner」によるキャリア支援制度も整備され、社員が自分らしい目標を描くのを支援​。経営層含め組織長1人当たり年間約300時間を人材育成に投下する仕組みもあり​、全社的に人材育成へコミットしている。
楽天
(IT・EC)
「勝てる人材、勝てるチームを作る」を人事の基本目標とし、「学び続ける組織(Learning Organization)」を目指す。グローバル企業らしく多様性を生かし、実力主義で評価する文化。全従業員が半期ごとに行動コンピテンシー(仕事のプロセスで発揮する能力)とパフォーマンス(成果)の目標を設定​。楽天の価値観「楽天主義」の成功のコンセプトに基づくコンピテンシー評価で月額給与が決まり、成果評価で業績賞与が支給​。勤続年数に関係なく能力・実績で公平に評価される仕組み。現場では1on1ミーティングを2017年に全社導入し根付かせ、2023年時点で実施率96%、満足度95%と高い成果を上げる​階層別研修(新任マネージャー研修等)やビジネススキル研修(論理思考・リーダーシップなど)、社内公用語の英語習得を目的としたEnglishnization研修まで、幅広い研修プログラムを提供​。データドリブン経営を重視し、全社員にデータ分析と意思決定スキル研修を実施​。100以上の国籍からなる社員が活躍するため、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)研修や異文化コミュニケーション研修も充実​。成果次第で年齢に関係なく昇格・抜擢される風土で、若手からシニアまで成長の機会が開かれている。
ソフトバンク
(通信・投資)
孫正義社長が「後継者の発掘・育成」を掲げ設立したソフトバンクアカデミアに象徴されるように、次世代リーダーの育成を最重要視​softbank.jp。多様性と個性を尊重し、社員一人ひとりが持てる力を最大限発揮する人材群を作ることを目指す(ソフトバンクユニバーシティ設立)​softbank.jp。300年成長し続ける企業を目指し、人材基盤強化に余念がない。社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー(InnoVenture)」を2011年に開始し、社員から新規事業プランを公募​。優秀案は経営陣が事業化を支援し、子会社としてスピンアウトする仕組み​。実際にエネルギー事業など複数の新規事業がここから生まれている。キャリア支援面では、社員が社内外で学位取得や研修受講することを支援する制度も整備。孫社長自ら校長を務める「ソフトバンクアカデミア」では、2~3ヶ月に1度、塾生が経営陣に向け実際の事業戦略を提案するプレゼン大会を実施​。受講者同士が相互評価し合い切磋琢磨する実践的プログラムで、将来の経営トップ候補を育てている。社内大学にあたる「ソフトバンクユニバーシティ(SBU)」では、多様な研修を提供するだけでなく、社員が講師役を務める制度を導入​。一定スキルを持つ社員を社内認定講師(ICI)とし、彼らが研修の83%を担当する体制を構築​(2024年3月時点100名が認定)。このように社員自身が教え、学ぶ文化を醸成し、実践知を組織内で循環させている。若手~中堅社員向けの階層別研修から、経営層直下のメンタープログラムまで幅広い育成施策を展開する。

 

各社とも人材育成を経営戦略の一環として位置づけ、工夫を凝らした制度を運用していることが分かります。

例えばリクルートは社員の意思と適性を尊重した配置と育成計画(人材開発委員会&社内公募)で自律的な成長を支援し、楽天は明確な評価基準と充実した研修体系でグローバルに通用する人材力を培っています。ソフトバンクはトップ自ら関与するリーダー育成や社員によるナレッジ共有で独創的な人材輩出を狙うなど、アプローチは様々です。

 

その中でサイバーエージェントは、若手に早期から大きな裁量権を与え、挑戦の場を提供する文化がひときわ特徴的です。他社が制度面・研修面の整備に注力する一方、サイバーエージェントは制度と並行して日々の業務を通じた実践成長(OJTの強化)に重きを置いている点が際立ちます。

もっとも、近年はどの企業も互いの良い取り組みを参考にし合い、目標設定+フィードバック面談+社内公募+表彰制度といった施策を組み合わせて導入する傾向が見られます。自社のビジョンや組織風土に合った形で、こうしたベストプラクティスを取り入れることが重要と言えるでしょう。

 

育成施策を効果的に機能させるポイント

優れた人材育成の仕組みに共通するキーワードは「自発的な成長を促す環境」です。

ただ研修を与えるだけでなく、社員が自ら学び・挑戦し・フィードバックを得られる環境が整っている組織は、強い人材が育ちやすくなります。ここでは、専門調査や各社事例に裏打ちされた効果的な育成のポイントをいくつか整理します。

  1. OJT(実践学習)の重視
    現場での挑戦や仕事を通じた経験こそが成長に直結します。マンパワーグループの調査でも、現場で教え育てるOJTが最も効果的と感じると答えた管理職が58.0%とトップで、過半数を占めました​。実業務に即したスキル習得が成長スピードを速める点が評価されています​。サイバーエージェントの石田氏も「習得したものを活かす場(意思決定して実行できる機会や環境)が重要」だと述べています​。制度研修(Off-JT)は知識のインプットに有効ですが、それだけで人は伸びません。70:20:10の法則(人材の成長要因の70%は実践経験、20%は人からの学び、10%が研修)とも言われるように、日々の業務で挑戦機会を与えることが育成の王道と言えます。
  2. 目標の見える化とフィードバックサイクル
    社員が自分の成長目標を具体的に認識し、進捗を振り返る仕組みも不可欠です。リクルートの「Will-Can-Mustシート」やサイバーエージェントの「プロレポ」のように、組織の期待と本人の意志を擦り合わせて目標設定することで、社員は何を成し遂げるべきかを自覚できます​。さらに定期的な1on1面談や上司・同僚からの360度フィードバックにより、目標達成に向けた課題や成長を対話で確認することが重要です。楽天では全社員の1on1を継続実施し、その実施率96%、満足度95%という高評価から、対話の効果を実証しています​。このようなPDCAサイクル(計画・実行・振り返り・改善)を個人レベルで回す習慣が、社員の主体的な成長を加速させます。
  3. 挑戦を促す権限移譲と内部公募
    社員が自分の可能性を試せる新しい役割やプロジェクトを提供することも大切です。サイバーエージェントやソフトバンクのように、若手に重要プロジェクトのリーダーを任せることは本人の成長を飛躍的に促します​。もちろん全員を抜擢できるわけではありませんが、社内公募制度によって「手を挙げれば挑戦できる」風土を作ることが有効です。リクルートは全社のポストを社員に開放し自ら異動を選ばせる仕組みで、社内に起業家的な活力を生んでいます​。このように社内人材市場を活性化させると、社員は受け身ではなく自らキャリアを切り拓くマインドを持ちやすくなります。また、それによって配置のミスマッチも減り​、結果的に組織全体のパフォーマンス向上につながります。
  4. 承認欲求を満たす表彰・報奨
    認められたいという欲求は多くの社員のモチベーション源泉です。定期的に成果を評価・称賛する仕組みは、組織にポジティブな競争と一体感をもたらします。サイバーエージェントのように半期ごとに盛大な表彰式を行ったり​、部署単位で月次MVPを選出することは​、社員同士が互いに成果を称え合う機会となります。表彰された本人はさらなる高みを目指し、周囲も刺激を受けて「次は自分も」と努力する好循環が生まれます​。また金銭インセンティブや記念トロフィーなど工夫を凝らすことでイベント自体が社員の目標になるケースもあります​。表彰制度は経営からの強力なメッセージでもあり、「会社はこういう行動・成果を価値と見做している」というシグナルを発信する役割も果たします。実際サイバーエージェントでは、表彰制度が変化に前向きに対応するカルチャー醸成につながったといいます​
  5. 学習機会の提供と社内ナレッジ共有
    最後に、社員がスキルアップできる学習リソースを充実させることも重要です。研修や勉強会は“10%”の位置づけとはいえ、無視はできません。各社とも新人研修や階層別研修、専門スキル研修を体系化し、人材の土台強化に努めています​。最近は社内SNSやeラーニングで誰でも学べる環境を整えたり、ソフトバンクのように社員を講師役に育てて社内に教え合う文化を作る動きもあります​。専門知識を持つ社員が講師となると受講者にとって身近で実践的な内容になりやすく、講師自身の成長にもつながるため一石二鳥です​。また社内の成功・失敗事例を共有する場(勉強会、社内ブログ等)を設けることで、組織知を蓄積し社員同士が学び合う「実践共同体」を醸成できます​。ある研究でも、人材育成の成否を分けるのは社内に実践共同体を作り出す企業文化であり、「優れた人材とは自ら学ぶ力を身につけた人材」であると指摘されています​。この言葉が示すとおり、社員同士が切磋琢磨し継続的に学べる環境が、強い組織を作る鍵と言えるでしょう。

以上のポイントを総括すると、人が育つ組織とは「適切な目標と役割」を与え、「挑戦と対話」を通じて成長を促し、「成果を承認」してさらなる意欲につなげる場だと言えます。そのために、企業は制度・文化の両面から土壌を整え、社員の主体性を引き出すことが肝要です。

 

まとめ:自社に育成文化を根付かせるには

サイバーエージェントをはじめとする各社の事例は、自社の人材育成を見直す上で多くの示唆を与えてくれます。では、そうした優良事例を自社に取り入れるにはどうすれば良いでしょうか。ポイントは以下の通りです。

自社の課題と目指す姿を明確化

まず現状の人材育成上の課題を洗い出し、「どんな人材像を育てたいか」「社員にどう成長してほしいか」を経営層で共有しましょう。たとえば「若手の定着率が低い」「リーダー層が育たない」等の課題によって、導入すべき施策(キャリア支援か、研修か、権限移譲か)は異なります。育成のゴールと優先課題を定めることが出発点です。

成功事例を参考に施策を設計

課題に対して、前述のような先進企業の取り組みをモデルに施策案を考えます。例えば「若手の主体性を高めたい」ならサイバーエージェントのプロジェクトレポートやあした会議を参考に目標設定の仕組みや新規提案制度を検討する、「社内の人材流動性を上げたい」ならリクルートのキャリアウェブ制度にならい社内FA(社内転職)制度を作る、といった具合です。一度に全て真似る必要はありません。自社の規模や風土に合わせ、取り入れやすい施策から段階的に導入すると良いでしょう。

経営陣のコミットと推進体制づく

育成制度は導入して終わりではなく、定着させるには経営陣の継続的なコミットメントが欠かせません。トップメッセージで育成方針を発信したり、自らメンター役を買って出るなど、経営層が前のめりで関与することで社員の意識も変わります​。また人事部門だけでなく現場マネージャーも巻き込み、全社横断の推進チームを作ると効果的です。リクルートのように定期的に育成委員会を開き人材戦略を議論する場を設ければ​、施策のPDCAと改善も回しやすくなります。

外部の専門サービスを活用

自社だけでゼロから制度設計するのが難しい場合、採用・育成の支援サービスを活用するのも一策です。近年、人材コンサルティング各社が育成制度の構築支援や人材開発プログラム提供を行っており、プロの知見を取り入れることでスムーズに施策導入できます。例えば、1on1面談の導入支援や社内公募制度の設計支援、オンライン研修プラットフォームの提供など、ニーズに応じたサービスが多数あります。外部パートナーを上手に使えば、自社に不足するリソースやノウハウを補完し、短期間で効果的な育成環境を整備することが可能です。

人材育成は継続的な取り組みです。一朝一夕で成果が出るものではありませんが、だからこそ競合他社との差別化要因にもなります。社員が生き生きと成長し、それが事業成果に結びつく会社は強い組織です。サイバーエージェントの例に見るように、適切な仕掛けを用意すれば人は勝手に育つループを作ることも可能です​。ぜひ自社ならではの育成文化を醸成し、「人が育ち、事業が伸びる」好循環を実現していただきたいと思います。その際には必要に応じて外部の力も借りながら、将来の成長を支える人材基盤づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。

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