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2025.04.14[Mon]
1. 現在の新卒採用市場の課題
近年、多くの企業が新卒採用の母集団形成に苦戦しています。特に、エントリー数の減少や先行受験者数の不足が大きな課題となっており、24卒採用ではその傾向がさらに顕著になりました。この問題の背景には、以下の2つの学生の傾向が影響しています。
1.1 楽観傾向の増加
コロナ禍の影響が和らぎ、企業の求人数が増加したことで、学生は就職活動に対して楽観的な姿勢を取るようになりました。以前はリスクヘッジのために大量にエントリーする学生が多かったものの、現在では「選べる環境」になったため、慎重に応募する企業を選ぶようになっています。
1.2 効率重視の行動
Z世代の学生は「タイムパフォーマンス(タイパ)」を重視し、無駄なエントリーを減らす傾向にあります。例えば、以前のように「とりあえず説明会に参加する」といった行動は減り、最初から自分に合った企業だけを選ぶ傾向が強まっています。その結果、企業側は単純にエントリー数を増やすのが難しくなっています。
2. これからの母集団形成戦略
このような状況において、企業が取るべき戦略は次の2つのポイントに集約されます。
2.1 コンバージョン率(CVR)を意識する
限られた応募者を最大限に活かすために、エントリー後の選考通過率や内定承諾率を向上させる必要があります。例えば、学生が企業に興味を持ちやすいコンテンツの提供や、スムーズな選考プロセスの設計が重要です。
2.2 マッチングの最適化
母集団形成においては、「誰でもいいから応募してほしい」という考え方を捨てることが重要です。あらかじめ欲しい層を明確にし、そのターゲットに刺さるメッセージを発信することで、最終的な採用成功率を高めることができます。
3. 効果的な母集団形成チャネル
効果的な母集団形成を行うためには、適切な採用チャネルの選定と管理が不可欠です。以下の4象限に分けて整理すると、企業にとって最適な手法が見えてきます。
チャネル分類 | 例 | 特徴 |
---|---|---|
1対N(Web) | ナビサイト(マイナビ、リクナビ)、特化型ナビ | 幅広い層にアプローチ可能 |
1対N(リアル) | マッチングイベント、キャンパスリクルーティング | 学生と直接接触ができる |
1対1(Web) | ダイレクトリクルーティング、新卒紹介 | 個別アプローチが可能で質が高い |
1対1(リアル) | OBOG訪問、リファーラル採用 | 信頼性が高くマッチ度が高い |
特に最近では、「待ちの採用」から「レコメンド型採用」への移行が進んでいます。従来のナビサイト頼みの採用ではなく、企業側から適切な候補者にアプローチするダイレクトリクルーティングや新卒紹介が注目されています。
4. 採用チャネルの評価とマネジメント
採用チャネルを効果的に活用するためには、適切な評価とマネジメントが必要です。
4.1 採用チャネルの評価基準
企業が採用チャネルを見直す際には、以下の5つの指標で評価することが重要です。
- 登録者の量:チャネルの利用者数
- 登録者の質:ターゲット層のマッチ度
- 実績:過去の採用成功率
- 管理の手間:運用のしやすさ
- コスト:費用対効果
これらの指標を比較し、最も効果の高いチャネルにリソースを集中することが求められます。
4.2 採用チャネルのマネジメント
採用チャネルを最大限に活用するためには、外部パートナー(ナビサイト運営会社、ダイレクトリクルーティング企業、新卒紹介エージェント)との関係構築も重要です。
- 期待値の明確化:KGI(最終採用人数)やKPI(インターン予約数、説明会予約数)を設定し、ベンダーと合意形成する。
- 業績と情緒のバランス:ベンダーとの関係を単なる取引ではなく、長期的なパートナーシップとして捉え、適切なフィードバックを行う。
- 適切なプレッシャーの活用:「期待している」と伝えつつ、必要に応じて厳しい要求も出すことで、最大限の成果を引き出す。
5. まとめ
新卒採用における母集団形成の難易度は年々上がっていますが、単に応募者数を増やすのではなく、**「ターゲットの明確化」「コンバージョン率の向上」「適切な採用チャネルの選定とマネジメント」**が重要なポイントとなります。
・ エントリー数の増加よりも質の向上を重視 ・ ターゲット層を明確にし、マッチングを最適化 ・ レコメンド型採用(ダイレクトリクルーティング、新卒紹介)の活用 ・ 採用チャネルの評価・マネジメントを適切に行う
これらの戦略を取り入れることで、効果的な新卒採用が実現できるでしょう。